委員長のことば

学校体育研究同志会(通称「体育同志会」)全国常任委員長の澤豊治です。

私は、40年間中学校の保健体育科教員として、現場で子どもたちとともに過ごしてきました。その間、私は常に、子ども達にとって「学校とは何か」「学ぶことの意義とは何か」「保健体育での学びとは何か」などについて子どもたちに問われ続けてきた気がします。その問いに対し十分とまでは言えないまでも私なりに精一杯応えてきたと実感しています。その大きな支えになったのが体育同志会での実践研究と全国の仲間達でした。

体育同志会が「研究」ではなく「実践研究」という表現をするのには意味があります。それは、子どもたちの「昨日より今日、今日より明日少しでも成長した自分になりたい」という思いに、しっかり寄り添った研究がしたいという願いからなのです。つまり体育同志会の研究スタイルは、あくまで学校現場の子ども達との実践を通した研究であるべきだという強い思いを表現しています。

学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が求められています。中教審答申(平成28年12月)では、具体的には、以下のように示されています。「主体的な学び」学ぶことに興味関心を持ち、自己の学習活動を振り返り次につなげる学び。「対話的な学び」仲間との協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに自己の考え方を広げ深める学び。「深い学び」各教科の特質に応じた「見方・考え方」を働かせ知識を相互に関連付けより深く理解したり、新たな問題を見いだして解決策を考える創造的な学び。では現場の体育ではこれをどのように受け止め実践すればよいのでしょうか。
私たち体育同志会では、既にこの学びについて、長年実践研究を積み重ねてきました。仲間とのグループ学習で「みんなでみんながうまくなること」を目標にした対話的な学びの研究や「民舞」を教材に自らの身体との対話、その土地の風土や歴史に育まれてきた文化との関係の研究、「球技」を教材とした用具やルールの変遷と技術・戦術の発展との関係を考える学びの研究などです。これらは我々が進めている研究の一例です。

このように体育同志会では子どもたちが体育の授業や部活動において自らが授業の主体者となり「主体的・対話的で深い学び」ができるような実践研究を行っています。職場が多忙な中、ひとりで悩んでいても「いい先生」にはなかなかなれません。だからこそ全国の仲間と一緒に学んで子ども達にとって 「いい先生」を目指したいと考えています。子ども達が「センセ、体育の授業って楽しいね! みんなで分かって、上手になるってうれしいね‼︎」子どもたちがそう言ってくれる授業をあなたも一緒に私たちとつくりませんか。一人でも多くの先生が体育同志会に関心を寄せていただくことを心から願っています。

 

滋賀支部 澤 豊治